2019年12月6日、明日少女隊(TGT)は上智大学グローバル・コンサーン研究所(IGC)とのコラボレーションで「エンパワメント・マーチ」というパフォーマンスをしました。このパフォーマンスはIGCが毎年開催しているグローバルフェスティバルの一部として、11月25日(女性に対する暴力撤廃の国際デー)から12月10日(国際人権デー)の間、「ジェンダー暴力と闘う16日間キャンペーン」と同時期に行われました。IGCが過去に開催したグローバルな規模で植民問題に取り組むイベントと異なり、このパフォーマンスはキャンパス内での身近な問題に焦点を当てたものでした。また、The Clothesline というソーシャリー・エンゲージド・アート作品もキャンパスに設置されました。この作品はメキシコ人アーティストのモニカ・マイヤーとのコラボレーションで制作されたものです。
明日少女隊はこのフェスティバルに招待していただき、学生へ向けての講演や学生を交えたマーチを企画しました。2017年に表参道で行った「ガールズ・パワー・パレード」にインスピレーションを受け、IGCの田中雅子教授からのお願いで、明日少女隊は彼女の学生たちとともにキャンパス内でパフォーマンスを行いました。新しいパレードは振り付けやプラカードメッセージ等、パフォーマンスの要素を上智大学という独特な状況を考慮した上で計画されました。明日少女隊は学内の権力問題に注目を集めるため、学生と関わり合いました。
マーチの準備をしている間、私たちは上智大学のキャンパスの文化を理解するためにIGCの代表者の方々と会議を重ねました。上智大学の学生は大半が女性であり、外国人学生もかなりの人数いると知りました。これは大学生活とキャンパス内での力関係に影響を与えます。多くの学生が、裕福で伝統的な価値観を持つ家庭の出身です。上智大学の女子学生が在学中に良い配偶者に出会うことを期待されているとも聞きました。同時に、多くの学生が裕福なライフスタイルに従うようにと周りの学生からプレッシャーを感じて悩んでいるようでした。私たちはキャンパス文化に適応できなかったために中退した男子学生もいると知りました。主要な権力問題はジェンダーだけではなく、階級の問題と深く絡み合っているようです。日本人らしさに適応するようにとプレッシャーを感じる外国人学生の声も聞きました。
そのため、私たちはキャンパス内の様々な問題に対応する「すべてのジェンダーを包括する」エンパワメント・マーチをすることにしました。IGCとの会議で、以下の質問を考えました。
学内で、ハラスメントや暴力、排除を自分が受けたこと、あるいは目撃したことはありますか?それはどんなことですか?どのようにして起きましたか?
学内・学外で、あなたが、他者からされて嫌だと感じたこと、傷ついたことは何ですか?
あなたが、嫌だと感じたとき、あるいは傷ついたとき、本当はどうしたかったですか?ハラスメントや暴力、排除に対抗するために、あなたは日々何かしていますか?何ができると思いますか?そして、これから何をしますか?
これらを問うことで、私たちは学生が自らの弱みに立ち向かい、学生同士で共有することができればと考えました。学生の実際の悩みをあらわしたプラカードのメッセージを選ぶことはパフォーマンスをする上で一番大事な仕事でした。IGCは学生にアンケートを取り、かなりの数の回答を集めました。
明日少女隊の隊員、田中教授、IGCの学生代表の間での熱い議論の末、私たちは4つのプラカードメッセージを考え出しました。
(1) 気づいたら、介入!
(2) You are NOT alone.
(3) 私はワタシのままが良い
(4) Don’t say: ‘日本人みたい’ It is not a compliment.
これらのメッセージは私たちが取り組みたい以下のカテゴリを象徴します。
(1)と(2)のメッセージは学生の大半とキャンパス文化に関わるものでした。私たちはこのメッセージが日常生活の中の権力関係について考えるきっかけになることを期待しています。
(3)はLGBTQに関わるメッセージで、アライでも掲げられるものです。
(4)は外国人学生に関わるメッセージで、アライでも掲げられるものです。
(2)に関して、私たちは当初、はっきりとフェミニズムと分かるメッセージにしようと考えていました。最終的に、より幅広く包括的なメッセージを選びました。
12月6日、パフォーマンスは昼休みに、キャンパス中央の交差点にて行われました。明日少女隊の隊員3人と学生14人がパフォーマンスに参加しました。学生は様々な国籍・ジェンダー混合のグループでした。ゲリラ方式を実行し、キャンパスの建築物を積極的に役立たせることで、通行人の注目を集めることができました。なにより、学生たち自身がこのイベントを通して、力づけられたと感じられたことが一番意義のあることだったと考えています。
ページトップにIGCにより共有された動画をぜひご覧ください!学生によるパフォーマンスへのフィードバックが見られます。
photography by Masako Tanaka, Ryota Yokoyama, Miino Kurita